ストレスチェックを実施した事業者は、その結果を所轄の労働基準監督署に報告する義務があります。報告書の様式は「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」(様式第6号の3。以前の様式第6号の2から番号が変わっています)と定められており、毎年の定期報告が必要です。
本記事では、様式第6号の3の各記入欄の書き方から、提出期限、電子申請の方法まで、報告業務に必要な実務知識を整理します。
- 様式第6号の3の各記入欄の書き方と記入例がわかる
- よくある記入ミスとその防ぎ方を事前に把握できる
- 提出期限と届出先の確認方法を整理
- e-Govによる電子申請の具体的な手順を解説
報告書の提出義務と対象事業場
ストレスチェックの労基署報告は、常時50人以上の労働者を使用する事業場に義務付けられています。ここでいう「事業場」とは、本社・支店・工場など事業活動が行われる場所の単位であり、企業全体ではありません。なお、常時50人未満の事業場は現時点では実施・報告いずれも義務ではありません。2028年4月1日施行(政令で確定)など今後の制度変更の詳細は50人未満の事業場向け義務化タイムラインで解説しています。
提出期限と届出先
報告書の提出義務は、労働安全衛生規則第52条の21に基づき「1年以内ごとに1回、定期に」提出することと定められています。実務上は、前回の報告書提出日からおおむね1年以内(多くの場合、毎年のストレスチェック実施後、同じ時期)に提出するのが基本です。
届出先は、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署です。複数の事業場がある企業は、それぞれの事業場ごとに管轄の監督署へ提出する必要があります。
様式第6号の3の記入方法
報告書の各欄について、記入内容と注意点を順に解説します。
事業場に関する基本情報
| 記入欄 | 記入内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 労働保険番号 | 事業場の労働保険番号 | 番号を確認して記入 |
| 事業場の名称 | 正式名称を記入(例:株式会社○○ 東京本社) | 登記上の名称と一致させる |
| 所在地 | 事業場の住所 | 本社ではなく当該事業場の住所 |
| 事業の種類 | 日本標準産業分類の中分類に基づく業種 | 該当する分類コードを確認 |
| 在籍労働者数 | 検査実施年月の末日現在の常時使用する労働者数 | パート・契約社員含む。派遣先は派遣労働者を含めない |
ストレスチェックの実施状況
この欄では、ストレスチェックの実施に関する具体的な数値を記入します。正確な数字の把握がとりわけ重要な箇所です。
| 記入欄 | 記入内容 | 算出方法・注意点 |
|---|---|---|
| 検査の実施年月 | ストレスチェックを実施した年月 | 複数月にわたる場合は開始月〜終了月 |
| 検査を受けた労働者数 | 実際にストレスチェックを受検した人数 | 対象者数ではなく受検者数 |
| 面接指導を受けた労働者数 | 医師による面接指導を実際に受けた人数 | 面談を勧奨した人数ではない点に注意 |
| 検査を実施した者 | 該当する区分の番号(1:事業場選任の産業医/2:事業場所属の医師〔1以外〕・保健師・歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師/3:外部委託先の医師・保健師・歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師) | 氏名・職名は書かない。実施事務従事者ではなく実施者について選ぶ |
| 面接指導を実施した医師 | 該当する区分の番号(1:事業場選任の産業医/2:事業場所属の医師〔1以外〕/3:外部委託先の医師) | 医師名は書かない |
| 集団ごとの分析の実施の有無 | 該当する番号(1:行った/2:行っていない) | 集団分析の実施状況を選ぶ |
よくある記入ミスとその対策
労基署への提出時に差し戻しや問い合わせが発生しやすい記入ミスには、以下のようなものがあります。
第一に、「検査を受けた労働者数」と「対象労働者数」の混同です。報告書に記入するのは実際に受検した人数であり、受検対象者の総数ではありません。受検率80%の事業場で対象者100人の場合、記入すべきは80人です。
第二に、「面接指導を受けた労働者数」に高ストレス者の人数を記入してしまうケースです。高ストレス者の人数ではなく、実際に医師の面接指導を受けた人数を記入してください。
第三に、実施者と実施事務従事者を混同するケースがあります。報告書に記載する「検査を実施した者」は、ストレスチェックの実施者(医師・保健師等)であり、事務処理を担当した実施事務従事者ではありません。
ストレスチェック制度の法的要件で定義されている実施者の要件も確認しておくと、記入ミスを防ぎやすくなります。
電子申請(e-Gov)による提出方法
ストレスチェックの報告書は、2025年1月から原則としてe-Gov(電子政府の総合窓口)を通じた電子申請で提出します。電子申請が困難な場合の書面提出については、所轄の労働基準監督署に確認してください。電子申請を利用すると、窓口に出向く手間が省け、提出履歴も電子的に管理できます。
電子申請の手順
e-Govでの提出は、以下の流れで行います。
まず、e-Govのアカウントを作成し、GビズIDまたは電子証明書を取得します。次に、e-Govの「手続検索」から「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告」を検索し、申請画面に進みます。各項目を入力して送信すると、受付番号が発行されます。
電子申請の場合、押印は不要です。ただし、初回利用時の環境設定に時間がかかることがあるため、提出期限に余裕を持って準備を進めてください。
複数事業場の一括管理
事業場が複数ある企業では、各事業場の報告書作成と提出を本社で取りまとめることがあります。この場合、事業場ごとのデータ収集と集計が煩雑になりがちです。
ストレスチェックの業務効率化の観点からは、受検データの集計から報告書のドラフト作成までをシステムで自動化するのが理想的です。受検者数や面接指導実施者数といった数値を手作業で集計すると、転記ミスのリスクが常につきまといます。
ストレスチェック実施ガイドでは、実施から報告までの全体フローを解説していますので、制度運用の全体像を把握したい方は合わせてご覧ください。
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