高ストレス者割合とは何か
ストレスチェックの結果、一定の基準を超えたストレス状態にある労働者を「高ストレス者」と判定します。ストレスチェックの実施者は、高ストレス者に対し、医師による面接指導の申出を勧奨することができます(労働安全衛生規則第52条の16第3項)。
高ストレス者の割合(高ストレス者率)は、事業場の職場環境・業界特性・働き方によって異なりますが、厚生労働省の実施マニュアルでは受検者全体の約10%が高ストレス者となるよう設計されています。
割合の目安と実態
実際の高ストレス者割合は、採用した判定基準や職場環境によって事業場ごとに異なります。まずは自社の結果を設計上の目安(受検者の約10%)と比べてみるのが出発点です。
| 基準 | 高ストレス者割合の目安 |
|---|---|
| 厚労省マニュアルの設計値 | 受検者の約10% |
事業場による違い
高ストレス者割合は、職場環境や働き方によって事業場ごとに異なります。
自社の数値を「業界平均」と比較する際は、単一の全国平均との比較だけでなく、同業他社や類似規模の事業場との比較が有益です。
高ストレス者の判定基準の種類
厚労省実施マニュアルでは、高ストレス者の判定基準として主に次の2方法が示されています。事業場の衛生委員会で審議し、どちらの方法を採用するかを決定します。
方法1:合計点数を使う方法
「心身のストレス反応(B領域)」の合計点数が高い労働者、または「仕事のストレス要因(A領域)」と「周囲のサポート(C領域)」の合計点数が高く、かつ「心身のストレス反応(B領域)」の点数が一定以上の労働者を高ストレス者とする方法です。マニュアルの評価基準例では、Bが77点以上、またはA+Cが76点以上かつBが63点以上とされています。
厚労省マニュアルの標準的な基準では、受検者の約10%が高ストレス者となるよう閾値が設定されています。
方法2:素点換算表を使う方法
各尺度の素点を素点換算表で5段階の評価点に換算し、換算後の評価点の合計を使って、方法1と同じ2つの要件(Bが高い、またはA+Cが高くかつBが一定以上)で判定する方法です。こちらも標準基準で受検者約10%が対象となります。
自社の高ストレス者割合が高い場合の対応
自社の高ストレス者割合が設計上の目安(約10%)を大幅に上回る場合(例:20%超)は、職場環境に構造的な問題がある可能性を示しています。放置すれば精神障害の労災請求にもつながりかねません(精神障害の労災請求は過去最多で推移しています)。以下のステップで対応します。
Step1: 集団分析で部署・職種別に分解する
全体の割合が高くても、特定の部署・チームに集中している場合があります。集団分析(仕事のストレス判定図)で10名以上の集団を抽出し、「量的負荷」「職場の支援」などの得点が低い部署を特定します。
Step2: 衛生委員会に報告・審議する
集団分析の結果を衛生委員会に報告し、対策の方向性を審議します。高ストレス者割合が高い場合には、衛生委員会の議事録に対応方針を記録しておくことが法令上の証跡として重要です。
Step3: 職場環境改善計画を作成する
「職場環境改善計画(ストレス低減アクションプラン)」を作成し、残業削減・休暇取得促進・コミュニケーション強化など具体的な施策を定めます。次年度のストレスチェックで改善効果を検証します。
自社基準値を衛生委員会で設定する手順
初回のストレスチェック実施前に、衛生委員会で以下の項目を決定・記録します。
- 判定基準の選択:厚労省標準基準を採用するか、事業場独自基準を定めるかを審議
- 高ストレス者割合の目標値:現状ベースラインと次年度目標を設定(例:初年度15% → 翌年12%)
- 面接指導の勧奨方法:文書・メール・上長経由の別と、申出期限(標準は概ね1か月以内)
- 集団分析の実施単位:原則10名以上(プライバシー保護)の部署・職種単位で実施
高ストレス者割合を継続的にモニタリングするポイント
1回のストレスチェックで終わらせず、経年でトレンドを追うことが重要です。
- 前年比較:同一集団の高ストレス者割合の増減を確認
- 部署別推移:改善施策を実施した部署と未実施部署の差異を比較
- 面接指導申出率:高ストレス者のうち実際に面接指導を申し出た割合(参考:受検者のうち面接指導を受けた割合は0.6%〔厚生労働省 平成29年公表〕)
ストレスチェックシステムが集計・可視化機能を備えていれば、年度ごとのダッシュボードで担当者負担を軽減できます。
- 高ストレス者の設計上の目安は受検者の約10%(厚労省マニュアルの評価基準例)
- 割合は職場環境や働き方によって事業場ごとに異なる
- 自社が平均を大幅に超える場合は集団分析→衛生委員会報告→改善計画の3ステップで対応
- 判定基準は厚労省マニュアルの標準基準を採用し、変更時は衛生委員会で審議・記録
- 経年トレンドを追うことで職場環境改善の効果検証が可能になる
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