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ストレスチェック57項目の質問とは?職業性ストレス簡易調査票の選び方ガイド

|ストレスチェック

この記事でわかること
  • 職業性ストレス簡易調査票(57項目)の3つの領域と各質問の意味
  • 80項目版との違いと、どちらを選ぶべきかの判断基準
  • 自社オリジナル調査票の作成可否と法的要件
  • 集団分析ツールとの連携方法
  • 50人未満の中小企業に適した調査票の選び方

「ストレスチェックの調査票って、何を使えばいいの?」「57項目と80項目、どっちを選ぶべき?」

ストレスチェック制度の担当になったとき、多くの実務担当者がぶつかる疑問です。この記事では、厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」の構造と特徴、80項目版との違い、自社への適切な調査票選定の基準まで解説します。

職業性ストレス簡易調査票とは何か

開発の背景

職業性ストレス簡易調査票は、NIOSH(米国国立労働安全衛生研究所)の職業性ストレスモデルをベースに、1990年代後半から2000年代初頭にかけて下光輝一らの研究グループが開発(厚生労働省委託研究として公表)した日本の職場向けストレス測定ツールです。厚生労働省が「ストレスチェックの実施推奨ツール」として公式に採用しており、2015年のストレスチェック制度開始以来、国内で最も広く使われています。

57という数字は質問の総数を指します。A領域・B領域・C領域の3つのカテゴリに分かれており、それぞれ職場でのストレス状況を異なる角度から測定します。

厚生労働省が推奨する理由

数ある職業性ストレス測定ツールの中で、57項目版が「標準」とされる理由は以下のとおりです。

  • 信頼性と妥当性の検証済み:数万人規模のデータで科学的検証が済んでいる
  • 集団分析ツールが整備済み:厚生労働省が無料の「仕事のストレス判定図」を提供
  • 他事業場との比較が可能:全国平均データと比較した偏差値的スコアが得られる
  • 外部委託サービスが対応済み:ほぼすべてのストレスチェック委託サービスが対応

57項目の3領域と質問内容

A領域:仕事のストレス要因(17項目)

A領域は、働く環境や業務内容からくるストレスの「原因」を測定します。「量」と「質」という2つの軸から、どれだけストレスフルな状況にあるかを把握します。

サブカテゴリ 質問数 測定内容の例
仕事の量的負担 3 非常にたくさんの仕事をしなければならない、時間内に仕事が処理しきれない
仕事の質的負担 3 高度な知識・技術が必要、難しい仕事
身体的負担 1 身体を使う仕事(重い物を扱う等)
仕事のコントロール 3 自分で決定できる、自分のペースで進められる
技能の活用 1 自分の技能や知識を活かせる
対人関係のストレス 3 部署内で意見のくい違いがある、部署と他部署とはうまが合わない、職場の雰囲気は友好的である
職場環境 1 勤務場所の快適さ
仕事の適性度 1 仕事が自分に合っているか
働きがい 1 仕事に意義や達成感を感じられるか

A領域のスコアが高いほど、仕事からのストレスが大きいことを意味します。特に「仕事の量的負担」と「コントロール感の低さ」が重なると、ストレス反応が出やすいことが研究で示されています。

B領域:心身のストレス反応(29項目)

B領域は、ストレスによって実際にどのような心身の「反応」が起きているかを測定します。精神的・身体的の両面から29の質問で詳細に評価します。

サブカテゴリ 質問数 測定内容の例
活気(ポジティブ指標) 3 活気がわいてくる、元気がいっぱいだ、生き生きしている
イライラ感 3 怒りを感じる、内心腹立たしい、イライラしている
疲労感 3 ひどく疲れた、へとへとだ、だるい
不安感 3 気がはりつめている、不安だ、落着かない
抑うつ感 6 ゆううつだ、何をするのも面倒だ、物事に集中できない、気分が晴れない など
身体愁訴 11 頭が痛い、首や肩がこる、腰が痛い、目が疲れる、動悸・息切れ等

B領域は「ストレス反応」なので、スコアが高い(ネガティブ反応が多い)ほど問題があることを示します。ただし「活気」については逆スコアで、高いほど良い状態です。この非対称性は集計時に注意が必要で、システム化する際のポイントでもあります。

C領域:周囲のサポート(11項目)

C領域は、上司・同僚からのサポートが受けられているかを測定します。同じストレス要因があっても、周囲のサポートが充実していれば影響が緩和されることが知られています(バッファー効果)。

サブカテゴリ 質問数 測定内容の例
上司からのサポート 3 上司とどのくらい気軽に話ができるか、困った時にどのくらい頼りになるか、個人的な問題を相談したらどのくらいきいてくれるか
同僚からのサポート 3 職場の同僚について、上司と同じ3つの質問
家族・友人からのサポート 3 配偶者、家族、友人等について、上司と同じ3つの質問
満足度 2 仕事に満足だ、家庭生活に満足だ

C領域のスコアが低い(サポートが少ない)場合、A領域のストレス要因が高くてもサポートで緩和されず、B領域の反応が強く出る傾向があります。

80項目版との違い

ストレスチェックで使える調査票には、57項目版のほかに「職業性ストレス簡易調査票(80項目版)」も存在します。80項目版は57項目版をベースに、以下の要素を追加したものです。

比較項目 57項目版 80項目版
質問数 57問 80問
回答時間 5〜10分 10〜15分
追加要素 なし(標準版) 仕事の資源(上司のリーダーシップ・成長の機会など)、ワーク・エンゲイジメント、職場の一体感、職場のハラスメントなど
集団分析ツール 厚生労働省が無料提供 全国平均値は研究班が公開。厚労省の実施プログラム等の対応状況は委託先に確認
他事業場との比較 可能(全国標準データあり) 可能(研究班が全国平均値を公開)
おすすめ用途 法令対応・集団分析重視 組織開発・詳細な職場課題分析

どちらを選ぶべきか

2028年4月の義務化対応を考えている50人未満の中小企業には、57項目版をまず選ぶことを強く推奨します。理由は以下のとおりです。

  • 外部委託サービスが57項目版に最適化されており、追加費用なく使えるケースが多い
  • 厚生労働省の無料集団分析ツール(仕事のストレス判定図)が即日使える
  • 従業員の回答負担が少ないため、回答率を高めやすい
  • 全国比較データで自社のストレス水準を客観的に評価できる

80項目版は、ストレスチェック制度が軌道に乗ったあとに「もっと詳しく職場の課題を分析したい」という段階でのステップアップとして検討するとよいでしょう。

自社オリジナル調査票は作れるか

法的要件

労働安全衛生規則では、ストレスチェックに使う調査票に対して「以下の3つの領域を含むこと」という要件を定めています。

  1. 職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目(=A領域相当)
  2. 当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目(=B領域相当)
  3. 職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目(=C領域相当)

つまり、「A・B・C領域の3つをカバーしていれば」自社オリジナルの調査票を作ることは法的に可能です。

自社作成のデメリットと現実的な選択

ただし、自社作成にはいくつかの重大なデメリットがあります。

  • 信頼性・妥当性の担保が困難:科学的に検証された標準版と同等の精度を確保するには専門知識が必要
  • 集団分析の比較基準がない:自社データしかなく、業界水準や全国平均との比較ができない
  • 委託業者が対応できない場合がある:独自調査票には対応していない外部サービスが多い
  • 実施者の合意が必要:医師・保健師などの実施者が調査票の内容に合意することが求められる

現実的には、「57項目版をベースに自社の業種特有の項目を追加する」という形がとられることがあります。この場合、追加項目は法令上の集計対象外として扱い、あくまで自社内の参考情報として使うのが安全です。

システム開発・SaaS選定との関係

調査票選定がシステム要件に影響する

ストレスチェックのシステム(SaaSまたは自社開発)を選定する際、調査票の種類は重要な要件定義の一要素です。

  • 57項目版対応:スコア計算ロジックが標準化されている
  • 80項目版対応:対応状況はサービスごとに確認。自社開発ではスコアリングロジックの実装が必要
  • カスタム調査票対応:対応状況はサービスごとに確認。自社開発であれば柔軟に対応可能

集団分析の自動化とシステム連携

57項目版を使う場合、集団分析の仕組みが標準化されているため、以下の連携が比較的容易に実現できます。

  • 部署別・年代別の自動集計ダッシュボード
  • 「仕事のストレス判定図」に相当するスコア可視化
  • 前年比較による変化トレンドの表示
  • 高ストレス者の自動フラグ・通知機能

自社の人事システムや勤怠管理システムとのデータ連携を考えている場合は、ストレスチェックシステムのAPI連携ガイド|人事・勤怠・健康管理との統合も参考にしてください。

50人未満企業の調査票選定まとめ

2028年4月の義務化対応を控えた50人未満の中小企業が調査票を選ぶ際の意思決定フローをまとめます。

  1. まず57項目版を選ぶ:法令対応・外部委託・無料集団分析ツールと相性が最良
  2. 外部委託を使う場合:委託先が57項目版に対応しているか確認(ほぼ全社が対応)
  3. 自社でシステム構築する場合:57項目版のスコアリングロジックを実装、集団分析ダッシュボードを開発
  4. 特殊な要件がある場合:カスタム調査票の追加が必要か実施者と相談

ストレスチェック制度全体の流れ(準備〜結果通知〜高ストレス者対応)については、ストレスチェック50人未満の義務化対応ガイド【2026年版】で詳しく解説しています。また、助成金を活用した費用削減についてはストレスチェック助成金まとめ【2026年最新】を参照してください。

集計では、B領域の「活気」が逆向きの尺度である点に注意が必要です。採点方法と高ストレス者の判定基準を正確に適用することが、個人への正確なフィードバックにつながります。

まとめ

  • 職業性ストレス簡易調査票(57項目)はA・B・C領域の3つのカテゴリで構成され、厚生労働省推奨の標準ツール
  • 80項目版は詳細な組織分析に向くが、回答負担が増えるデメリットあり
  • 50人未満の中小企業には57項目版が最適解
  • 自社作成は法的に可能だが、信頼性確保が難しく実務的には推奨されない
  • システム選定時は57項目版への対応と集団分析の自動化を優先する

よくある質問

ストレスチェックは57項目と80項目どちらを使うべきですか?

厚生労働省は57項目版(職業性ストレス簡易調査票)を標準として推奨しています。80項目版(新職業性ストレス簡易調査票短縮版)は、仕事の資源やワーク・エンゲイジメントなども測りたい企業向けです。初めて実施する場合や外部委託を検討している場合は、57項目版が運用しやすく、集団分析ツール(厚労省提供・無料)もそのまま使えます。

ストレスチェックの調査票を自社オリジナルで作ることはできますか?

独自の調査票を使うことは法令上禁止されていませんが、指針では、3つの領域(ストレスの原因・心身の自覚症状・周囲の支援)を含み、一定の科学的根拠に基づく調査票を、実施者の意見と衛生委員会の審議を踏まえて選ぶこととされています。実務上は57項目版または80項目版が標準であり、独自票への変更は実施者・衛生委員会の合意が必要です。

57項目の回答に何分かかりますか?

個人差がありますが、Web受検で5〜10分程度です。紙受検ではマーク記入・集計の手間がかかるため15分前後を見込む企業が多いです。事前に受検通知に「10分程度で完了」と案内することで受検率向上に効果があります。

57項目版の集団分析ツールは無料で使えますか?

はい、厚生労働省が無料で提供する「ストレスチェック実施プログラム」で、仕事のストレス判定図(仕事の量的負担・仕事のコントロール・上司の支援・同僚の支援の4尺度)による集団分析ができます。ただし、10人未満の集団分析には個人特定防止の観点から注意が必要です。

ストレスチェックの調査票は何年ごとに更新されますか?

職業性ストレス簡易調査票に固定の更新周期はなく、研究成果や制度改正に応じて改訂されることがあります。研究班では、標準値(全国平均値)を再算出する研究も行われています。変更があれば厚生労働省の公式サイトに掲載されますので、実施前に最新版を確認することをお勧めします。

ストレスチェックの57項目、実際にはどんな質問が含まれますか?

A群(仕事のストレス要因17項目)、B群(心身のストレス反応29項目)、C群(周囲のサポート11項目:上司・同僚・家族友人の支援各3項目と満足度2項目)の3群構成です。たとえばA群には「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「自分のペースで仕事ができる」、B群には「ゆううつだ」「ひどく疲れた」などが含まれます。

ストレスチェックの57項目の結果を労基署に報告する必要がありますか?

労働基準監督署への報告で求められるのは「在籍労働者数・受検者数・面接指導を受けた労働者数」などの集計値であり、調査票の項目数(57か80か)は報告要件に影響しません。50人以上の事業場は毎年1回の報告義務があります。50人未満の事業場は、2028年4月1日の義務化後も労基署への報告は不要です(小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル)。

ストレスチェックで「高ストレス者」と判定された人への対応は?

高ストレス者が面接指導を希望した場合、事業者は産業医等による面接指導を実施する義務があります(労安衛法第66条の10第3項)。面接指導の結果を踏まえ、就業上の措置(勤務軽減・配置転換等)を講じる必要があります。本人が希望しない場合は強制できませんが、受検勧奨や相談窓口の案内は実施できます。

2028年の義務化拡大後も57項目版で対応できますか?

はい、2028年4月1日施行の50人未満事業場への義務化拡大後も、57項目版(職業性ストレス簡易調査票)は引き続き標準票として利用できます。新たな調査票要件は現時点で示されていません。外部委託先のシステムが57項目に対応しているか、集団分析機能の有無(努力義務)を契約前に確認しておくと安心です。

57項目版でも集団分析は義務ですか?

集団分析は努力義務であり、法律上の罰則はありません。ただし10人以上の集団については実施が推奨されており、職場環境改善につながる重要な施策です。衛生委員会での審議・結果の活用まで一貫して取り組む企業が増えています。

外部委託先に57項目版の変更を依頼できますか?

多くの外部委託業者は57項目版・80項目版の両方に対応しています。既に運用中のシステムで変更する場合は、衛生委員会の議事録を更新し、実施規程に反映した上で委託先に書面で依頼することが望ましいです。変更後は翌年度以降の経年比較が途切れる点に注意が必要です。